形成外科

ケロイド

傷あとが赤く硬い線維性腫瘤になるもののうち、拡大傾向を示すものをケロイドと呼びます。肥厚性瘢痕と類似していますが、肥厚性瘢痕はある程度の時間(半年~1年程度)で落ち着き、広がることがないという点でケロイドと異なります。

特徴

ケロイドは手術やBCG接種、ピアスなどによりできることもありますが、原因がはっきりしないことも多いです。その場合、ニキビ跡や虫刺されなどから生じている可能性があります。体質や体の部位によって頻度が異なることが知られており、耳介や前胸部正中、肩、恥骨上部などで特に発生しやすいですが、他の箇所に生じることもあります。 整容的に目立つのみならず、痛みやかゆみ、ひきつれ感などの症状を伴うことが少なくありません。

治療
保存的治療

通常は、まず症状を緩和するための保存的治療を行います。保存的治療には、シリコンゲルシートなどによる圧迫療法、ステロイドを含むテープや軟膏を使用する外用療法、ステロイド剤の局所注射、トラニラスト製剤(抗アレルギー剤)の内服などが挙げられます。単独で行うよりも、症状に合わせていくつかの方法を並行して行ってゆくことが一般的です。

外科的治療

保存的治療で症状の改善が得られないときや、見た目の改善を強く希望する場合は、外科的治療(手術)を検討します。しかし、手術そのものが新たなケロイドの原因となり、高い確率で再発してしまうため、手術のみを単独で行うことはほとんどありません。

外科的治療+後療法

手術のみでは再発率が非常に高いため、手術の当日から、数日間(3~4日間程度)放射線療法を行います。放射線療法は、入院でも、外来通院でも対応可能です。術後放射線療法を併用することで、再発率をかなり低く抑えることができますが、完全に抑えることはできません。また、その他の後療法として、保存的治療でも用いるステロイド外用療法や、トラニラスト製剤内服などを併用することもあります。

写真 小耳症5 写真 小耳症6 
※筆者が他院で執刀した患者さまおよびご家族から承諾をいただいて写真を使用しています。本HP以外への無断転載はお断りします。

耳介のケロイドの方です。左が術前、右が手術後放射線療法を行い、8カ月の状態です。