大動脈センター
ステントグラフト(血管内治療)
ステントグラフトとは?
大動脈瘤に対する外科的手術は、現在でも確実で有効な治療法の一つであることに、異論はありませんが、胸や腹部を大きく切り開いて、大動脈瘤を治療しなければならないので、患者さんへの負担は依然大きく、合併症などのリスクを伴います。
そのためより患者さんへの負担の少ない治療が開発され、足の付け根の血管(大腿動脈)から、カテーテルを使用して人工血管(ステントグラフト)を大動脈に挿入し、大動脈瘤の破裂を防ぐ治療が2008年から日本でも行えるようになりました。
当院でも2009年から治療を開始し、年々症例数が増加しています。
メリット・デメリット
すべての患者さんにこの治療ができるわけではありません。動脈瘤の形や場所によっては、外科的手術治療の方が安全で確実な場合もあります。
当センターでは、患者さんごとに適切な治療法をお勧めしています。
メリット
・胸やおなかに大きな傷を切る必要が無い、通常両足の付け根、数センチの傷でできる
・術後の回復が早い(術後約一週間程度の入院期間)、術翌日より食事・歩行が可能
・高齢者や他の病気をお持ちの方にも、比較的安全に治療を行う事が出来る
デメリット
・術後長期の成績、安定性が判らない
・退院後、年1・2回の造影CT等の画像検査のフォローアップが、長年にわたり必要である
・すべての患者さんに出来るわけではない
・急性大動脈解離には基本的に適応出来ない
現時点では、外科的手術の方が、より長期の成績は安定しているといえます。
腹部大動脈瘤に対するステントグラフト
足の付け根の血管(大腿動脈)や手の血管(上腕動脈)から、カテーテル使用して、血管の内腔を通して、ステントグラフトを大動脈瘤の近くまで持っていきます。
動脈瘤のある部位でステントグラフトを広げて、動脈瘤に高い圧の血流が入らないようにし、動脈瘤の破裂を予防します(上図)。
麻酔は当院では、不測の事態にいつでも対応できるように全身麻酔で行っています。
胸部大動脈瘤に対するステントグラフト
腹部大動脈瘤と同様にカテーテルを利用して、動脈瘤の近くにステントグラフトを持っていき、広げます。通常入院期間は術後10日から2週間程度です。
ステントグラフトに関する詳細は、日本ステントグラフト実施基準管理委員会でもご覧になれます。