産婦人科

アクティブバース(フリースタイル出産)について

アクティブバースとは

アクティブバース(フリースタイル出産)とは、1980年代のイギリスから始まり、その後世界中に広まった自然分娩の代表的出産方法のひとつです。日本ではフリースタイル出産とも呼ばれることもあります。この“アクティブ”とは「能動的」という意味で、現在一般的な「受け身」のお産ではなく、女性自身が主体的にお産をリードしたいという欲求を叶えたお産でもあります。自然分娩への原点回帰の一環として、分娩台の上で固定された体位での出産を改め、妊婦にとって最も楽で自由な体位でのお産を試みることが特徴です。


アクティブバースのメリットとデメリット

もし妊婦に何の制限も加えず、自由な分娩体位を許可したら、恐らく横向きに寝そべる体位(側臥位)をとることでしょう。なぜならそれが一番楽だからです。また、最もいきむ力が強い体位は上体を起こして足を開く体位(スクワットあるいは蹲踞姿勢)とされています。現に古くから日本では産み綱を使って座ってお産をしていましたし、中世ヨーロッパでは分娩椅子でお産をしていました。どちらも上体を起こした体位です。妊婦自らの意思で現代のような上向きで足を開いた体位(砕石位)をとることはないということです。つまり、その時々妊婦自身がしたいと思う姿勢で分娩体位をとることができるのが、アクティブバースの最大の利点です。しかし欠点としては、体位によっては胎児心音をモニタリングする分娩監視装置が装着しにくいことがあり、胎児の異常を早期発見しにくいことが挙げられます。

イメージ図 産み綱でのお産 分娩椅子でのお産
当院でのアクティブバース

当院では、本館9階北棟に自然分娩施設である “バースセンター” が設置されております。バースセンターには分娩台がありませんので、そこでのお産はすべてアクティブバースになります。本館4階西棟の ”母子医療センター” ではハイリスクな出産も取り扱っており、出産自体は分娩台を使用した一般的なお産のスタイルです。ただし、母子医療センターでも、ご希望があれば砕石位にこだわらずさまざまな体位での出産も可能ですので、外来担当医や助産師にその旨をお伝えください。


アクティブバースが可能な条件

アクティブバースでは、分娩体位を仰臥位に固定しないため胎児の状態を確認する分娩監視装置を装着しづらいという欠点があります。そのため妊娠経過が順調であり正常な分娩経過が予想されるローリスク妊婦に限られます。すなわち、年齢・体重の制限はもとより、持病もなく、正期産で自然に陣痛がつく良好な妊娠経過であることが条件となります。


会陰切開や血管確保について

アクティブバースでは、正常分娩が予想されることが前提ですので、基本的に予防的血管確保はいたしませんし、会陰切開もどうしても必要なとき以外は行いません。できるだけ自然な出産というのが基本方針なのです。

イメージ図 アクティブバースですの分娩体位のいろいろ