director shinozaki 恩賜財団済生会は、1911年(明治44年)、明治天皇が「生活が苦しく、医療を受けられずにいる人々を救済するように」と発出された「済生勅語」を創立の起源として設立されました。現在、第6代総裁に秋篠宮皇嗣殿下を戴き、110年以上にわたり「施薬救療の精神」という済生会の理念のもと、日本最大の社会福祉法人として医療・保健・福祉活動を展開しています。今日、済生会は以下の三つの目標を掲げています。
 
1. 生活困窮者を支援し、救済する(済〈すく〉う)
2. 医療を通じて地域の命(生〈いのち〉)を守る
3. 組織全体(会)で切れ目のない医療と福祉を提供する
 
 当済生会宇都宮病院は、1942年(昭和17年)に宇都宮市で開院し、済生会の理念と目標のもと、「医療を通じて地域社会に貢献し、地域と共に進化する」ことを基本方針として、日々の診療に努めてまいりました。当院は徐々にその規模を拡大し、1981年(昭和56年)には栃木県救命救急センターを受託、1996年(平成8年)には現在の竹林町に移転し、644床を有する高度急性期病院として現在に至っています。
 
 地域医療の基幹施設として、高度急性期医療、先進医療、救急医療、がんゲノム医療に加え、恵まれない方々のための無料低額診療、生活困窮者・性暴力被害者支援事業、病児保育事業などの福祉活動にも力を注いでまいりました。現在、当院には31診療科、約220名の医師、約1,600名の職員が在籍し、PET/CT、SPECT/CT、3T MRI、320ch MDCT、血管造影装置、放射線治療装置など最新の診療機器を導入しています。また、2019年(平成31年)1月には、ハイブリッド手術およびロボット支援手術が可能な手術室を増設しました。
 
 さらに、新生児集中治療室(NICU/GCU)、高度集中治療室(ICU/CCU)、救急集中治療室(HCU)を備え、一般病床に加えて緩和ケア病棟やバースセンター(院内助産所)を設置し、総合的に地域医療へ貢献しています。2024年(令和6年)からは顕微授精を用いた生殖医療を開始し、周産期医療のさらなる充実を図っています。
 
 当院は、救急医療と高度急性期医療を事業の中核として、救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院、基幹災害拠点病院、地域周産期母子医療センターの指定を受け、地域中核病院としての役割を果たしております。また、健診部門における健康管理の促進や専門ドック、健診後のフォローアップの充実など、予防医療にも注力しています。さらに、入院サポートセンター(PFM)、外来化学療法センター、口腔ケア(歯科)を設置し、患者さんが安心して治療を受けられる環境を整えています。
 
 現在、日本は超少子高齢化社会を迎え、高齢者医療の増加と大幅な人口減少が進行しています。急激な生活環境の変化や複雑化する疾病に対応するため、当院では「病院完結型医療」から「地域完結型医療」へ、すなわち「治す医療」から「治し癒す医療」への転換を目指し、地域の医療機関との連携を強化しております。地域の医療機関と共に進化し続けることが、当院の重要な役割であると考えております。
 
 外来受診、入院、退院においては、地域の「かかりつけ医」や周辺病院と密接に連携し、退院支援と地域一体型の包括的なケアを推進してまいります。私たちは、安全で質の高い医療を継続的に提供するために、皆様の声に真摯に耳を傾け、研鑽を積みながら医療の質を高める努力を続けてまいります。
 
 地域の皆様の命と暮らしに向き合い−必要なときに必要な医療を提供すること−それが、私たち済生会人の使命と考えています。患者さんから信頼され、そして愛される病院を目指し、職員一丸となって努力してまいります。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。