外来受診のご案内
がんゲノム医療について
がんゲノム医療とは
がんは様々な遺伝子の変異によって起こる病気で、その変異は患者さんお一人ごとに異なります。遺伝子の変異が治療薬の効果に影響をおよぼす場合があることがわかっていますが、通常のがん遺伝子検査では特定の限られた種類の遺伝子を調べているのが現状です。
がんゲノム医療では、「がん」の遺伝子異常に対応するような治療薬の情報を提供して診療に役立てます。
がん遺伝子パネル検査とは
がん遺伝子パネル検査は、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ、さらなる有効薬剤の探索のために実施する検査です。患者さんのがん組織や血液を使って、ゲノムDNAを抽出し、がんに関連する100種類以上の遺伝子の変化(専門用語では変異と呼びます)を確認します。遺伝子の変化によっては、有効性が期待できる薬剤が分かる場合があります。
一部の検査は健康保険の適応となりますが、保険適応になる検査は、厚生労働省が指定したがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院で受けることができます。
当院で可能ながん遺伝子パネル検査
済生会宇都宮病院は、がんゲノム医療連携病院に指定されており、以下のがんゲノムプロファイリング検査を実施しております。
「OncoGuide™NCCオンコパネルシステム」(保険承認)
2018年12月25日に日本国内で製造販売承認が取得されたがんゲノム遺伝子パネル検査です。
がんに関連した114遺伝子をがん組織と血漿の両方で調べる検査です。
※実施要件がありますので、ご自身が該当するかどうかは主治医にご相談ください。
「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(保険承認)
2018年12月27日に製造販売承認されたがん遺伝子パネル検査です。患者さんの腫瘍組織を用いて、固形がんに関する324のがん関連遺伝子の変異の有無を調べる検査です。
「FoundationOne Liquid CDx」がんゲノムプロファイル(保険承認)
2021年3月22日に厚生労働省から承認されたがん遺伝子パネル検査です。血液を用いて、固形癌に関する324のがん関連遺伝子の変異の有無を調べる検査です。
がんパネル検査でわかること
がん遺伝子パネル検査を実施することで、がん細胞の遺伝子変異が検出され、その変異に対する治療薬や治験・臨床試験の情報を得ることができる可能性があります。一方で、遺伝子に変異が見つからない場合や、変異が見つかっても治療に使用できる薬剤がない場合もあります。
遺伝性腫瘍(生まれつきがんに罹りやすい体質)の遺伝子の変異があることがわかる、または変異がある可能性が示唆されるとの結果がでる場合があります(別途、遺伝カウンセリング(※)を受けていただく場合があります)。
※遺伝カウンセリングは、保険診療もしくは自費診療となります。
がんパネル検査の対象となる患者さん
・固形がんで根治治療が困難な方
・固形がんで標準治療が終了または終了見込みの方
・原発不明がん、希少がんの方
・全身状態が良好な方
・遺伝子パネル検査に提出できる病理検体(採取後3年以内に限る)がある、または再採取が可能な方
パネル検査受診に必要な費用
がん遺伝子パネル検査の検査費用は合計56万円です。患者さんの自己負担割合によって費用が変わります。検査費用は2回に分けてお支払いいただきます。
※組織検体で解析ができず、血液検体を用いたFoundationOne®Liquid CDxで再提出する場合は、再度8万円の検査提出料がかかります。(計64万円)
結果説明時(12,000点) 120,000円
例)3割負担の方:検査申込料(44,000点) 440,000円 ⇒ 132,000円
:結果説明料(12,000点) 120,000円 ⇒ 36,000円
・「高額療養費制度」が適応となりますので、収入に応じて決められた自己負担分以外は払い戻しを受けることができます。
・その他、診察料、診断料などが別途必要です。また、検査後の治療のための費用は含まれません。
ゲノム外来について
現在、当院でがん治療中の方
※各診療科主治医にご相談下さい。
※患者さんからの直接の予約は受け付けておりません。
他医療機関にてがん治療中の方
受診希望の方は「ゲノム外来」に受診したい旨を、現在通院中の主治医にご相談いただき医療機関(主治医、連携室 等)より済生会宇都宮病院地域連携課までご連絡ください。
紹介状等を元にがん遺伝子パネル検査の適応であるか確認いたします。
がん遺伝子パネル検査の適応の場合は,受診日の調整をします。
予約の日時につきましては,現在通院中の医療機関へ予約票をFAXでお送りいたしますので通院中の医療機関から予約票をもらって受診日にお持ちください。
なお、当院以外で治療をされている方ががん遺伝子パネル検査を希望される場合、1 回目の受診時(検査説明)はセカンドオピニオンとしてゲノム外来を受診していただくことになります。
※セカンドオピニオンに関する費用は以下のとおりです。
相談時間 | 相談料金 |
1時間以内 | 22,000円(税込) |
《医療機関の方へ》
ご通院中の患者さんが、ゲノム外来へご受診を希望されましたら、まずは地域連携課へご一報ください。紹介状等を元にがん遺伝子パネル検査の適応であるか確認いたします。適応の場合は、受診の予約をお取りいたします。(毎週水曜日午後を予定しております)その他、必要書類等のご案内をさせていただきます。
・C-CAT登録記入用紙
・がん遺伝子パネル検査病理組織検体情報
がん遺伝子パネル検査の流れ
※検体提出から結果説明までに、1か月半~2か月を要します。
1回目 | 検査説明 | ゲノム外来担当医等と面談していただき、病状の把握や、検査の概要について説明を行います。 |
---|---|---|
2回目 | 検査の同意 | 病理検体が、がん遺伝子パネル検査に適しており、検査の希望があれば同意書に署名していただきます。 もし、病理検体が適していない場合は新たに検体の採取を行うか相談します。 OncoGuide™NCCオンコパネルシステム、FoundationOne Liquid CDxの検査の場合は、がん遺伝子パネル検査用の採血を行います。なお、検体提出時に検査費用の一部(3割負担の場合 132,000円他)をお支払いいただきます。保険診療であり、高額療養費還付制度の対象となります。 |
3回目 | 検査結果 | エキスパートパネルで検討し、決定した方針を説明します。 その際に、残りの検査費用(3割負担の場合 36,000円他)をお支払いいただきます。保険診療であり、高額療養費還付制度の対象となります。 検査実施ののち、結果説明を受けない場合は、保険外の検査となりますので、検査にかかった費用を全額お支払いいただきます(約560,000円)。 |
ゲノム外来受診にあたっての注意点
検査が実施できない場合もあります
保険適用で検査が可能かどうかは、ゲノム外来で最終的に判断いたします。また、相談の結果、がん遺伝子パネル検査を申し込まない場合も、ゲノム外来受診料はお支払いいただきます。
検査の限界について
・病理組織検体の質による影響
病理組織検体から得られた腫瘍検体の量や質が適切でなければ、解析できない場合があります。
・解析の成功率
腫瘍検体の量や質が適切であっても、解析の成功率は100%ではありません。解析がうまく行かなかった場合でも、支払金が返金されない場合があります。
検査に要する期間について
ゲノム外来を受診して検査を行い、患者さんに結果の説明をするまでには、約1か月半~2か月はかかります。
※検査に要する期間は、選択する「がん遺伝子パネル検査」の種類によって異なります。
治療薬が見つかる確率について
検査を行っても、患者さんの「がん」の診断や治療に有用な情報が得られない可能性があります。
治療薬について
治療効果が期待できる薬剤の情報は提供できますが、その治療効果を保証するものではありません。
その他
・ゲノム外来は、原則ご家族の同席をお願いしております。
・ゲノム外来受診後、スムーズな検査を実施するため、事前に当院での病理診断を行っています。
検査実施の有無にかかわらず病理診断費用が必要になる場合があります。
問い合わせ先
直通TEL:028-626-5595
直通FAX:028-626-5795
平日 8:30~17:00
土曜 8:30~12:00
休診日:毎月第2土曜、日・祝日、年末年始(12/29~1/3)