形成外科

埋没耳

埋没耳とは、耳介の上部が側頭部の皮下に埋没した状態のことで、耳の筋肉の付着異常が原因ではないかと考えられています。日本では比較的多く、400人に1人程度の方に見られます。男性に多く、右側に多いとされます。 眼鏡やマスクの装用に支障をきたすため、耳介を引き出すための治療を行います。

治療
保存的治療

赤ちゃんに対してはテーピングや矯正具による保存的治療を行います。矯正は開始時期が早いほど効果的で、新生児期(生後1か月以内、理想的には生後1週間以内)に始めた場合にはかなり良い結果が期待できます。逆に生後6か月を過ぎると、耳介がかたくなる上、体動も激しくなるため、保存的な矯正が難しくなることが多いです。

写真 埋没耳1 写真 埋没耳2 写真 埋没耳3 写真 埋没耳4

生後1カ月のお子さんです。左から、矯正前の状態、クリップによる矯正中、矯正後1カ月の状態、矯正終了後10カ月の状態です。

手術治療

写真 埋没耳5

手術前の状態です。
変形は比較的軽度ですが、耳の上部が埋まりこんでいるため眼鏡やマスクがうまくかからないという難点があります。

写真 埋没耳6 写真 埋没耳7
※筆者が他院で執刀した患者さまおよびご家族から承諾をいただいて写真を使用しています。本HP以外への無断転載はお断りします。

7歳で手術を行い、術後3年の状態です。 耳の上部はしっかり引き出され、マスクの着用にも支障はありません。 当科では変形が軽度の方の場合には、まず生え際の切開から矯正を試みるのでうまくいけば耳の後ろにきずあとは残りません。 (難しい場合には皮弁法に切りかえます)
入院期間は3日~1週間程度で、耳の形を整えるためのガーゼを2週間程度固定します。